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World in You Storiesでは、世界が少しでもよくなったらという想いで何かに取り組んでいる方、人生を生きている方を、世界のさまざまなところからインタビューするシリーズです。あなたの中の世界-world in you、と他の誰か・どこかの世界-world in someone、が出会うことで、お互いの世界がより豊かになる、そして、より良い社会につながっていく、そんな願いをこめてつくっています。

World in You Story第3弾は、World in Youの三代祐子のストーリーを、チームメンバーの桝田が聴きました。

 

話し手:三代祐子

幼少期からNY在住。慶應義塾大学法学部では児童養護施設でボランティア。一人ひとりが「自分が生まれてきてよかった、社会って面白そう」と思える社会にしたい、という思いを抱く。マッキンゼー、東ティモールの憲法作成に従事、内閣府交流事業「世界青年の船」、ロンドン大学院LSEにて児童の人権や社会政策修了、ベネッセで21世紀スキル・主体性育成の新規事業の開発に取り組む。
産後を機にフリーランスとして、主にソーシャルな分野のリーダーや組織の伴走プログラム開発・実施に取り組む。5ヶ国に住み、40ヶ国以上訪れている。2018年よりWorld in You(当時WIT)のプログラム企画実施などに携わっている。3児の母。

 

聴き手:桝田綾子

大学卒業後、人材系ファームで、クライアント企業の人材開発・組織開発に携わる。
退職・出産後、リーダーシップの発揮を支援する技術を学び、セッションやワークショップを提供。
子ども関連のNPO等の運営に関わる中で、子どもの貧困等の社会課題や環境の持続可能性、SDGsに関心を持つようになる。米国CTI認定CPCC®、クリーン・ランゲージファシリテーター、2030SDGsファシリテーター。2022年よりWorld in Youチームに参画。2児の母。

 

本記事はインタビュー対談からの抜粋です。インタビュー全文はPodcastでお楽しみください。

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一人ひとりが自分の本音の想いを大事にできる社会であってほしい

 

―今、どんなことに取り組んでいますか?

 

主に2つあります。
1つは、社会課題解決に取り組んでいるソーシャルセクターのリーダーやその組織の伴走をしています。具体的には、ある組織や事業を始めたり、見直す際に、ミッションビジョンを一緒に捉え直したり、組織作りの伴走をご一緒しています。ピンポイントで事業やプログラムの企画・実施もしています。

2つ目は、個人的な体験から、産前産後の女性支援に対してパッションがあります。私自身1人目のお産が大変だった経験から、産前産後の女性支援が重要だと感じていて、お産の勉強、産前産後の女性と話す会などをしています。

 

―なぜ、その2つの活動に情熱を注いでいるのですか?

 

人の生き様に触れるのがすごく好きで、特に本人が大事だと思ってることに取り組んでいる人に触れるとワクワクするし、私自身の人生の幅を広げてくれます。

それなので、そういう方達が創ろうとしている未来に触れて、共感すると、「この人や組織が創り出したい世界を一緒に目指したい!」というパッションが湧きます。

ソーシャルセクターに関心を持った原点としては、大学時代に児童養護施設でボランティアをし、児童虐待について学ぶ中で、「一人ひとりが生まれてきてよかったと思える社会をどうしたら創れるのだろう?」という思いを抱いていました。

現場の人は頑張っていても厳しい状況があったり、政治的な判断で状況が変わってしまう理不尽さがあったり、何故なんだろう?と疑問を感じることが多くありました。それで、組織やお金の在り方などを学び、いつか国連機関のUNICEFを目指したいと思い、新卒でコンサルファームに入りました。

その後、ベネッセコーポレーションにも勤め、いろいろな観点から教育に触れてきましたが、自分がお産を体験した時に、教育や環境は大事だけど、身近な人と子どもの関係性がすごくその子の人生に影響を与えると体感しました。そこから、産前産後、特に妊婦や母親が満たされ、安心安全な人間関係を創る大切さを感じています。

 

―ソーシャルセクターの方や他の方達と一緒に創っていきたい未来は?

 

一人ひとりが自分の本音の想いを大事にできる社会であってほしいと思っています。本当にやりたいことを大事にするのは、時間がかかり、すぐできない可能性もあるけれど、その人しか持っていない想いなので、それを忘れないで大事にし続けて欲しい。

ソーシャルセクターの方々は、複雑で時間がかかる課題に取り組んでいることが多いです。それでも取り組むことは大事なので、進んでないと感じたり大変な時こそ、手を結んで一緒に取り組んでいく状態を創っていきたいと思っています。

ビジネスではスピードやインパクトが求められていますが、季節で良きタイミングが来ないと花が咲かないように、「育てる」場面においては自分ではコントロールできないことも多い。ですので、日々の中で、自分や団体の本音に少しでもいいから意識を向ける時間を持てるといいな、という想いがあります。

 

―お産などコントロールできないことについて、自然の流れやタイミングを大事にされたいという想いのきっかけは?

 

お産のトツキトオカは早められない。その中で、自分が頑張らずゆったり過ごすことが大事という、それまで求められていた価値観とは違うことが求められました。お産のタイミングは待つしかなく、自然に身を委ね、受け止め、手放すことがたくさんありました。

その後、仕事も同じで、同じやり方ができないので、他の人にお願いする、委ねる、自分が抱え込まない、というあり方が求められたのは大きな変化でした。頭で思ったとおり、計画どおりにいくとは限らないし、逆に新しい要因が入ってきた時にそれに乗ることが良い流れになる可能性があるとか、組織もすべて生き物なんだな、と感じました。

 

できごと自体よりも、捉え方・つきあい方が違いをうむ

 

―お産は大きな体験だったのですね。そこから感じたことを教えて下さい。

 

1人目のお産が大変でトラウマとなり、その後は子どもは産みたくないと思っていました。でも、時間が空いてから2人目を産んで、3人目は初めて助産院で産みました。3人目の時は、お産を中心によい状態でいようと妊娠期を大事に過ごし、助産師さんに伴走してもらい、同じお産でも全然違う体験をしました。例えば、1人目のお産では陣痛に対して耐えて戦っていたのですが、3人目の時は、「陣痛は私を応援してくれて、産みやすくしてくれてる、ありがとう!」という気持ちで迎え入れることができました。痛さは変わらなくても、それに対する付き合い方が変わり、物事はそれ自体よりも、私がそれとどういう関係性を持つかにより違ってくるんだと思えるようになりました。

私にとって、お産自体がどうだったかというよりも、過程の中で自分で選択するということが幸せなお産だと感じたので、他の人が子どもを産む際になるべくその人らしく、お医者さんに委ねるのでなく、自分で考えて自分で選択することをサポートしたいと思っています。

 

―そのような経験は、ご自身の働き方や、ソーシャルセクターの方が創り出したい世界を応援する際のあり方にも、関係していますか?

 

フリーランスも、どこかの組織に所属するのも、どちらにも良さと大変さがあります。でも自分で選んでいると思えたら、大変さも含めて、こういう場を一緒に創らせてくれていることの感謝に目を向けられるなと思います。団体に対しても、皆も答えが分からない状態でやっているので、相手に答えを求めず、一緒に考えていく、そして自分ごととして捉えるようにしています。自分は代表ではないけど、同じ立場に近い思いで、自分事と捉えた時に私は何をするかな、と結構考えています。

 

―これから向かっていきたい、探求していきたいことをうかがえますか?

 

今やっていること自体がとても大事だと思うので専門性を高めたり関係性を深めていきたいです。また、働き方として、元々の性質としてもライフフェーズとしても、応援するのが好きですが、今後「これ、本当に大事だな」と思える何かがあったら、小さくても良いので大事に育てていきたい想いがあります。

例えば、まだ具体的ではないですが、忙しい社会の中、特に社会人になると頑張り続ける必要があります。わかりやすいのはお産の時ですが、誰もが命や自分と安心して、自分自身とつながり、自然の中の一部なんだと、原点に意識的に立ち戻れる場、環境、関係性ができるといいなと思います。

 

―祐子さんにとっての”world in you”とは?

 

自分にとって、その時大事なことを自分事にする、当事者である。
私にとってこれが大事だなっていうことがあれば、それを見て見なかったことにしないで、大事にして一歩でもいいからそれに対してやりたいこととかできることとかを言ってみる、やってみるがWorld in Youだと思っています。

 

▼桝田より、インタビューを終えて

命ってどっちにいくかわからない。育つだろうと思った方向にいかないとか、育つ人自身と自分は違う人であるということを知りながら、「育てる」ということを祈りとしてされているんだなと感じました。自分のこととしてやっている、ということが印象的でした。

私自身に起きていることとしては、自分が「これがやりたい」というなにかすごく強い気持ちがあるわけではないところは共通していて、自分にとっての応援とはどんな形だろうか、というのをお話を聴いてから考えています。ありがとうございました。

 

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▼みなさんにとっての"world in you"をぜひおしえてください!

「あなたにとってのWorld in You」、「あなたはWorld(社会、世界)とどうつながりたいか?どこに自分の時間と命を使いたい?」をぜひこちらのフォームから教えてください。

(本記事はインタビューからの抜粋です。インタビュー全文はPodcastでお楽しみください。)

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