日米のNPO学会で、ボードフェロープログラムからの学び・成果を発表しました
ボードフェロープログラムのこれまで2年間からの学びや成果を、6〜7月に日本とアメリカのNPO学会で、東北大学の岡田 彩先生、関西学院大学の石田 祐先生とWorld in Youで発表しました。
6月は、京都産業大学&オンラインで開催された日本NPO学会では、「創発を促す非営利組織のガバナンス:多様なセクターの人材が参画する価値と可能性」について、
7月は、オンライン開催されたAssociation for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action(ARNOVA)のAsia ConferenceでThe Impact of Outside Board of Directors on Nonprofit Governance: Exploration through Quasi-Board Meetingsについて、下記を狙いにおきました。
- 日本においてまだ研究実績の少ない非営利組織のガバナンスの分野で、実践と研究をつなぐ。
- 非営利セクターにおいてガバナンスへの関心が高まりつつある中、管理監督などの狭義のガバナンスから、社会的ミッションに本質的に寄与する広義のガバナンスのあり方を提起する。
- 理事に誰を入れたらよいのか、どう効果的に関わってもらえるか、理事会をどのように運営すればよいかなどの課題を持つ非営利団体の経営や運営を担う方々に、実践的なヒントを提供する。
- ビジネスリーダーなど多様なセクターの人材が、どう非営利団体のガバナンスにおいて価値を発揮しうるかを示す。
これらについて、ボードフェロープログラムの特徴である、多様なセクターからの外部人材が模擬理事会という形で、非営利団体のリアルな経営課題の議論に参画することで、どのような変化が生まれるかを、参加団体・参加者インタビューやアンケートからの分析結果をもとにまとめました。
日本NPO学会では、マドレボニータ(ボードフェロープログラム第1期参加団体)の共同代表 山本 裕子さんも登壇者にお招きし、参加団体にとっての体験や変化を共有してくださいました。
今回は中間発表的な位置づけでしたが、ボードフェロープログラム参加者に見られた主な変化として下記を発表しました。
模擬理事会を開催した非営利組織に見られた変化
プログラムを契機に、団体内に新たなコミュニケーションが生まれていた。模擬理事会は、各々の組織や課題に対する認識が言語化される場となり、準備やふりかえりの過程の中で、互いの認識の違いが可視化され、それを擦り合わせる契機となっていた。模擬という決定的な意思決定を伴わない場は、非営利組織の経営者が、自身を「さらけ出せる場」となっており、外部理事とのやり取りから新しい視点や情報を得、己を見つめる場になっていた。
外部理事として参加したビジネスパーソンの変化
模擬理事という関わり方は、非営利と営利セクターとの協働として多々見られるケース(CSR関連のボランティア、プロボノ、助成金など)とは異なり、個々人にその専門性や経験を活かしたコミットメントが求められていた。自身と社会的な課題やNPOとの距離が縮まったと感じられたり、第三者として非営利組織に貢献できる方法を具体的に考える機会になっていた。今後、理事やプロボノとしてNPOに関わることへの意欲も高まり、実際に本格的に参画する例も確認されている。
岡田 彩先生からは以下のコメントをいただきました。
「学会での発表を通して、ボードフェロープログラムがいかにエキサイティングな場であるかを再認識しました。特に、The 2023 ARNOVA-Asia Conferenceでは「外部理事が入ると、NPOにはどのような変化が起きるのか」を試す実験的な場としてプログラムを捉え、練り上げ中の論文を発表しました(結果、気になりますよね?!)。研究として取り組めば取り組むほど、この問いを「日本」という文脈で検討することの必要性が浮かび上がってきます。World in You×アカデミアの共同研究、今後の成果にますますご期待ください!」
ボードフェロープログラムにご参加いただき、また、アンケートやインタビューにご協力いただいた皆さま、共にプログラムをつくっているチームの皆さん、本当にありがとうございます!
岡田先生・石田先生とは、ボードフェロープログラム第3期も引き続き、プログラム評価でご一緒いただき、本件についてもさらに実践と研究の連携を進めることで、学びをより広く社会に役立てていけるようにつとめていきます。