CO2排出管理に精度とスピードを ~ 炭素削減へ向けて世界の企業をサポートするArbor(カナダ)【World in You x Org #11】
「World in You × Org」は、より良い社会づくりに取り組んでいる様々な団体の想いや活動内容について伺い、学ぶWorld in You の対談シリーズです。
World in Youは、World Summit Awardを通じて、2020年にYoung Innovator Award を受賞したArborと出会いました。World in Youは、World Summit Awardの日本のカントリーエクスパートとして、世界の起業家や組織がテクノロジーの力をどのように活用して社会課題に取り組んでいるかを探究したりサポートしたりしています。
今回は、カナダに本社を置くArborの共同創設者であるDanny Grandeさんと、事業開発マネージャーのSydney Conwayさんに、彼らの歩みと会社の進化についてお話を伺いました。
本記事はその対談の日本語による紹介です。英語の要約記事は、こちら。対談の全内容はYouTubeとPodcastでお楽しみいただけます(全編英語になります)。
聴き手:山本 未生、記事・要約:山本 未生・本多 百音
▼英語記事要約
- Arborは、CO2排出量の管理プラットフォームで、炭素測定、レポーティング、インサイト、透明性という 4 つの軸でサービスを提供しています。高精度かつ迅速な炭素排出計算を提供することで他との差別化を図っています。一般的な推測値や使用料ベースで算出することが多い競合他社とは異なり、Arborは詳細なサプライチェーン分析、AI、機械学習を用いて、場所に応じた正確な結果を数分以内に提供します。
- 当初、消費者が、 特定のウェブサイトを環境、社会、ガバナンス(ESG)の基準に照らして評価できるようにするブラウザ拡張機能として始まりました。そして、消費者が自分の価値観に沿う企業をサポートするために購買行動を変えることを促すことを目的としていました。このアプローチは、何千件ものダウンロードを収めました。
- しかし、トップダウンで企業ごとに一括りで評価することだけでは十分ではないことに気づきました。消費者は必ずしも企業ブランドを考えて購入するのではなく、個別の製品をみて購入することがよくあります。これに対応するために、個々の製品を分析し、消費者が自分の価値観に基づいて購入できるマーケットプレイスを開発しました。このアプローチは注目を集めましたが、望む効果は得られませんでした。
- その間に、企業側からもArborにアプローチがあり、彼らは類似のマーケットプレイスを自社サイトに実装することに関心を示しました。その後、Arborは製品のCO2排出量計算エンジンに重点を移し、顧客企業をアパレル、コンクリート、電子機器などのさまざまな業界に拡大して、企業や消費者が情報に基づいた調達の意思決定を行えるように支援しています。
- さらに、顧客からのフィードバックや業界の需要を受けて、CO2排出計算だけでなく、レポーティングやそこからのインサイトの抽出、透明性を高めるサービスも提供するようになりました。企業間 (B2B) アプローチに焦点を当てるようになり、データに基づくサステナビリティに寄与するサービスを通じて、企業が世界にプラスのインパクトを与えていくことをサポートしています。
- Arborの特徴は、データに基づいた精確性とスピードです。顧客のニーズに基づいてサービスを進化させ、アパレル、建設、エレクトロニクス、金融などのさまざまな業界にわたって存在感を拡大しています。
- 同社はAIとNLPを活用してさまざまなソースからのデータ収集を合理化し、そこから顧客にとって使いやすい包括的なレポートを作成しています。 これを通じて、組織が炭素への影響を理解して削減し、持続可能性と環境責任を促進できるよう支援することを目指しています。
- インタビュー内でArborは自社の短期および長期のビジョンを共有し、炭素削減に世界的な影響を与え続けることの重要性を強調しています。
日本の読者へのArborからのメッセージ:
ミッションを効果的に達成するために政府や外部の補助金などのサポートも活用していきながら、自らのノーススター(北極星)を導とし、目標に忠実であり続けていきましょう!
Arborは2023年12月に日本を訪問予定です。
今後も海外展開を拡大し、世界中のクライアントやパートナーとつながっていきたい!とのことでした。
▼インタビュー後記
Arborが、クライアントやステークホルダーのニーズに耳を傾けながら、そしてもちろん地球へのインパクトを問い続けながら、ビジネスモデルや焦点を数回変えてきたお話を大変興味深く伺いました。
CO2排出の算出から評価、そして削減への意味あるアクションに繋げるためは、データのAvailability、そのできる限り精確な解釈、そしてアクションへの意思決定が組み合わさらないといけない、複雑な分野だと感じます。Arborの取り組みが、世界各所でのCO2削減に、迅速性や精確性の観点からますます貢献されていくことを期待しています。
(山本 未生)
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