ビジョンを目指すよりもビジョンと共存する ー 山本未生【World in You Story #1】
World in You Storiesでは、世界が少しでもよくなったらという想いで何かに取り組んでいる方、人生を生きている方を、世界のさまざまなところからインタビューするシリーズです。
あなたの中の世界―world in you、と他の誰か・どこかの世界―world in someone、が出会うことで、お互いの世界がより豊かになる、そして、より良い社会につながっていく、そんな願いをこめてつくっています。
シリーズ第1弾は、World in You代表山本のストーリーを、World in Youのプログラムに昨年参加し、企業で広報・CSV・営業・地域との連携等に携わってきた柴田氏が聴きました。
話し手:山本未生
国境やセクター、世代などの境を越え、一人ひとりが社会を良くする一歩を踏み出しあうChange-making communitiesを人生のビジョンに活動。大学時からソーシャルとビジネスセクターの橋渡しに関心を持ち、社会起業家との協働・支援(SVP東京)、住友化学、McKinsey & Companyを経て、2011年東日本大震災を機に現World in Youを共同設立、2013年より同代表理事。日本のソーシャルイノベーションを海外に広める動きも行う。ボストン在住。
聴き手:柴田春奈
2013年、ロート製薬株式会社に入社。法人営業として甲信越エリアのドラッグストアを担当後、2015年には社内の復興支援部門に公募にて異動。東日本大震災の遺児を対象とした奨学基金「公益財団法人みちのく未来基金」に出向しながら、地域との連携活動に取り組む。2017年より広報・CSV推進部に所属。社内外の架け橋として、社内外の広報・企業ブランディングを軸に取り組んでいる。
本記事はインタビュー対談からの抜粋です。インタビュー全文はPodcastでお楽しみください。
→Podcastで聴く
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「違い」が「分断」を生むことへの強烈な違和感
―今、どんなことに取り組んでいますか?
「世界の誰でも どこからでも より良い社会づくりに力を発揮しあえる世界」をビジョンに掲げる一般社団法人World in Youの代表をしています。
World in Youの事業は多様にみえますが目指すところは一貫していて、ビジョン実現のために「リーダーや組織・コミュニティを育てること」「非営利とビジネスといったセクターなどの垣根を越えた協働を媒介・応援していくこと」なんです。
それ以外にも、プライベートでも非営利活動や社会課題に対する取り組みも行っています。なぜか元来、惹かれるものがあるんですよね。
―そうなんですね。現在の活動や考えに至ったきっかけ等はあったのでしょうか。
いずれも幼少期のことになりますが、きっかけは主に2つあります。
私は4人兄弟の長女なのですが、妹弟に比べて勉強ができる方でした。そうすると周囲は妹弟を「勉強」という一つの物差しで比較するんですね。でもそれってとても不公平だなと思って。妹弟はそれぞれ個性や得意なことがあるにも関わらず、周囲からは「勉強」という尺度で評価されがちになる。幼いながらにそのギャップに違和感を覚えていました。
もう一つは小学校1年生の時のエピソードです。当時、日系台湾人の転校生がクラスにやってきたのですが、あまり日本語が話せなかったこともあり浮いてしまっていて。ただ言語が違うというだけで彼女がクラスに馴染めない状況がすごく悲しかったんです。そこである日の帰り道、勇気を出して彼女に声をかけました。「友達にならない?」って。彼女は笑って応えてくれて、私たちはよく遊ぶようになりました。あの時の彼女の笑顔が今でも忘れられないんです。
この2つの原体験をはじめとするベースがあって、多様な人々が互いを尊重し共に活動することに関心を持つようになったことが、現在の活動につながっています。
―私が去年参加したボードフェロープログラムでは「包み込まれるような」山本さんのファシリテーションが印象的でした。こうした原体験や多様性を受け入れたいという想いが反映されているのでしょうか?
それもあると思います。
例えば同じ日本人であっても、その人に響く言葉や「何を期待しているか?」というのはすごく多様なので。
オンラインでのプログラムでは特に、人それぞれ受け取りやすい表現や情報量は違うという認識のもと、自分の言葉がその人にうまくフィットするように願い、伝えるようにしています。
また、一度言っただけで相手に伝わったと思わないようにもしています。
表情やオーラといった非言語部分の情報もキャッチしつつ、伝え続けることを大切にしています。
ビジョンを絵空事で終わらせない
―今、人生でいうとどんなフェーズにいますか?
最近になってやっと、やりたいことや関心があることをより率直に表現できるようになってきたと思います。持っている想い自体は昔から変わらないんですが、今まではその想いがうまく伝わるかどうかを意識して表現を避けてきた部分があって。
ただ、具体的な活動内容や取り組みをビジョンに紐づける説明や努力を行えば、ストレートにやりたいことを表現してもいいんだって気づいたんです。
今もまだそれが完璧にできているわけではないのですが、よく意識していきたいです。
―その中でもこれだけは大切にしたい、と心に留めていることはありますか?
まずは団体が掲げていることを自分たちで体現しないといけないな、と思っています。
例えばWorld in Youのチームメンバーそれぞれが、改めてビジョンについて考え、行動したり。
一番の原点であるビジョンに立ち返って、日々を生きる事が何より大切な気がしていますね。
個人としては、新しい出会いを大事にしています。そしてそれを楽しむこと。
そうすることでより多くの多様性に触れることができ、ビジョン実現に向けた新しい発見につながると考えています。
―それではここからは未来に目を向けて。今後どのようなどのような取り組みをされていきますか?
「全く違う世界観の人たち」を引き合わせられるようにしたいと考えています。
現在もたとえば非営利セクターとビジネスセクターを引き合わせることに尽力してはいるものの、100%できているという感覚はないので、そこに取り組みたいです。
また、日本の社会課題解決に取り組んでいる非営利団体がいるということを世界に発信していきたいとも考えています。
まだまだ海外と日本のつながりは弱く、海外からは「日本には社会課題はない」と思われているような面もあります。
ビジョンに向かって協力しあうコラボレーターに出会うためにも、発信をし認知を得ることは大きな意味を持つので、そこにも力を入れていきたいです。
一方で、事業や活動内容はビジョン実現のためには変わり得ると考えています。自分自身がビジョンと共存するイメージを持ちつつ、何をしたらいいかを常に考えながら、ワクワクすることをやっていきたいです。
なるべく多くの人が行動や意見を出しやすい環境を作っていきたいですね。
―山本さんにとってWorld in Youとは?をひとことでお願いします。
自分自身が「色々な世界や人と出会っていること」です。
World in Youを自分自身が毎日少しずつ実践することで得るものがあり、事業や活動にも還元できると思っています。
みなさんにとってのWorld in Youもこれからどんどん伺っていきたいなと思います。
▼柴田さんより、インタビューを終えて
まずは、自分の原体験から得た想いをまっすぐに体現している山本さんがうらやましくもあり、かっこいいなと思いました。
人は大人になってからでも経験次第では人生が変わると思っています。そういった意味では、これから色々な方がWorld in Youを通じて多くの経験をし、人生が変わるきっかけを得ていくんだろうなと。私自身もボードフェロープログラムを通じて実感した一人です。
今後、山本さんやWorld In Youとの関わりから新たな自分・新たな世界に出会うきっかけを掴む方が増えていったらいいな、と思っています。これからもWorld in Youを応援していきます。
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▼みなさんにとっての"world in you"をぜひおしえてください!
「あなたにとってのWorld in You」、「あなたはWorld(社会、世界)とどうつながりたいか?どこに自分の時間と命を使いたい?」をぜひこちらのフォームから教えてください。
(本記事はインタビューからの抜粋です。インタビュー全文はPodcastでお楽しみください。)